清姫

奥州白河(現在の福島県白河市)から安珍という僧(山伏)が熊野に参詣に来た。この僧は大変な美形であった。紀伊国牟婁郡(現在の和歌山県田辺市中辺路熊野街道沿い)真砂の庄司清治・清次の娘清姫は宿を借りた安珍を見て一目惚れし、女だてらに夜這いをかけて迫る。安珍は僧の身ゆえに当惑し、必ず帰りには立ち寄ると口約束だけをしてそのまま去っていった[3]

欺かれたと知った清姫は怒って追跡をはじめるが[3][12]、安珍は神仏(熊野権現観音)を念じて逃げのびる[22][注 5]。安珍は日高川を渡るが、清姫も河川に身を投じて追いかける[23][注 6]。蛇体となりかわり日高川を泳ぎ渡った清姫は、日高郡の道成寺に逃げ込んだ安珍に迫る。安珍は梵鐘を下ろしてもらいその中に逃げ込む。しかし清姫は許さず鐘に巻き付く。因果応報、安珍は鐘の中で焼き殺されてしまう[3]。安珍を滅ぼした後、本望を遂げた清姫はもとの方へ帰っていき、道成寺と八幡山の間の入江のあるあたりで入水自殺したといわれる。

畜生道に落ち蛇に転生した二人はその後、道成寺の住持のもとに現れて供養を頼む。住持の唱える法華経の功徳により二人は成仏し、天人の姿で住持の夢に現れた。実はこの二人はそれぞれ熊野権現と観世音菩薩の化身であったのである、と法華経の有り難さを讃えて終わる

安珍・清姫伝説 – Wikipedia